TECとの3年間の契約が満了して日本に帰国した私は、大学時代の友人と洋書輸入販売の会社を設立し、事業が軌道に乗るまで翻訳で支えることにした。
このときも頼みの綱は電話帳だった。4年前と同じく最新の電話帳に載っている翻訳の項目を見て、翻訳会社に電話をかけた。しかし4年前と違うのは私の自信と相手の反応である。電話だからこちらの姿は見えないのだが、自信というものがこれほど直截に相手に伝わるものかと驚くほど話がスムーズに進んだ。
さっそく私のほうから翻訳会社に出向いて行ったり、先方から訪ねてきたりして、数日後にはまとまった仕事が入った。それから仕事はコンスタントに増えていった。こうして私は最初の決意から4年を経て翻訳者としてスタートを切ることができたのである。
（2007年10月1日)